2014年2月10日月曜日

甲状腺がん74名に。第14回福島県民健康管理調査検討委員会の結果

2月7日、福島県民健康管理調査検討委員会の結果が発表された。甲状腺悪性腫瘍と確定・疑いは、去年からさらに13名増えて、74名にも及ぶ(ひとりはのちに良性とわかったからマイナス1名)。あきらかに疫学的にみて多発と指摘されているにもかかわらず、検討委員会の星北斗、鈴木俊一らはまだまだ事故との因果関係を否定するつもりらしい。
チェルノブイリ事故のあと、過小評価に血道をあげたWHOもIAEAですらも、この小児甲状腺がんは4000例にもおよんだと、みとめざるをえなかった健康被害。にもかかわらずなのか、だからこそ、なのか?
ママレボ通信:傍聴第14回・福島県民健康管理調査検討委員会が、くわしくレポートしている。
http://momsrevo.blogspot.jp/2014/02/14.html

さらに福島県立医大は、小児がん科を新設。と同時に甲状腺がんの遺伝子解析研究に着手。
前者はがんが増えることを見越して。後者は原発事故との因果関係を否定する材料をみつけだすために、としか思えない。

委員会ではこの70名あまりにも及ぶ甲状腺がんの件数について、委員長の星北斗が、あろうことか、しれーっと「想定内の数」だ、と言ってのけたとのこと。「利益のためなら多少のリスクはやむを得ない」としてきた原子力産業と放射線医学のありかたの本質がますます露呈されている。一方で、この74件はスクリーニングエフェクトのせいだなどといってるのだから、もうめちゃくちゃな筋の通らないロジック。
はい。そして、いつも福島県立医大の主張をそのまま鵜呑みにする、朝日、大沼ゆり記者の記事は以下。
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朝日デジタル版 2014年2月7日 より
 福島県は7日、東京電力福島第一原発の事故当時に18歳以下だった子どもの甲状腺検査で、結果がまとまった25万4千人のうち75人が甲状腺がんやがんの疑いがあると診断されたと発表した。昨年11月より検査人数は約2万8千人、がんは疑いも含めて16人増えた。県は「被曝(ひばく)の影響とは考えにくい」としている。
 また福島県立医科大は、被曝の影響の有無を解明するために、手術で切除した子どもの甲状腺がんの遺伝子を解析する研究を始める方針を明らかにした。
 県によると、新たにがんと診断されたのは7人。これで計33人になった。良性腫瘍(しゅよう)とわかった1人も含めた75人の事故当時の年齢は平均14・7歳だった。
 県民の被曝の健康影響の調査のあり方を検討する委員会の星北斗座長は、被曝の影響とは考えにくい理由として、チェルノブイリ事故で子どもの甲状腺がんが増えたのは、発生後4、5年からだったことなどを挙げた。
 子どもの甲状腺がんの遺伝子解析をする県立医大の鈴木真一教授(甲状腺外科)は「甲状腺がんの発生と関係することがわかっている遺伝子変異のほかに、未知の変異がないかを探し、放射線の影響で発生したかどうかを見分ける目印にならないか調べたい」と話す。被曝の影響で甲状腺がんが増えるとしても判明するのは何年も先になり、個々の甲状腺がんが被曝の影響でできたのかを見分ける方法も現時点ではないためだ。(野瀬輝彦、大岩ゆり)
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怒りがおさまらない。何に対して?この3年間という年月に対して。


子どもを守るという行為に、みそをつけた、すべての言論・言動に対して。
あのとき、黙っていたすべてのうしろすがたに対して。
あのとき、黙っていた、ひとりひとりの顔に対して。





2014年2月2日日曜日

いまいちど、万国の<放射脳>よ、団結せよ、だ。 さしあたり韓国・台湾・西海岸とか。

日本社会というのは、これだけの核惨事下にあっても、おこっていることをいまだに「ナショナル」な問題としてしかとらえないですむ機制が、強くはたらいているのだとおもう。いったいぜんたいどうして、なんでしょう。えてして「惨事」の当事者とはそんなものなのか?と考えてみるものの、いや、どうも、ちがう。

「日本食を文化遺産に」とかおこっていることを、ぬりこめるちからが、やはり強烈にはたらいているのだと思う。こちとら、だし汁の椎茸、昆布を思うままに手にいれられず、びくびくしていのに。「文化遺産登録」なんてしている、余裕とお金があるなら、もっと政府、もっと計測真面目にしろ・給食の基準値つくれ・ストロンチウムはどうなんだ?といいたい。

チェルノブイリ事故で、世界に汚染食品の問題が広まって、8000キロはなれた日本でも輸入食品から、あるいはお茶からも放射能が検出されたりして、距離を隔てても、濃淡はあれ「当事者」であるという危機感が覚醒しました(少しの時間差を含んでいることが重要だと思う)。
このみじかな、身体的な危機感、どこまでやってきやがんだ放射能こわいよという恐怖感ぬきには1988年~89年の反原発の声の広まりもなかったはず。

今、ちょうど、福島第一原発の事故から3年目を前に、とくに近隣の韓国、台湾、また米国西海岸あたりでは、放射能汚染食品に対する危機感がづーっとたかまりつづけています。

にもかかわらず、汚染水問題が広がるのと反比例するかのように、あれだけグローバリゼーション反対、とかいっていた人々も、この日本の東電という一企業がもたらした、グローバルな悪事となると、ごもごもと、はぎれが悪い。
せいぜい、自分でこそこそたべものを気にするぐらいで、正面からとらえきれていない。


とにもかくにも、韓国では、去年の汚染水問題と前後して、日本大使館前でしきりに抗議行動がつづけられ、日本からの海産物輸入をきびしくせよという声が高まりました。

またあろうことか、こうした韓国での騒動を受け、韓国政府が日本産海産物の輸入禁止措置をきびしくしたことに対して、自民党政府はWTOに提訴までしています。

恥ずかしい....。自分のしでかした海洋汚染を棚に上げ、韓国だけを提訴。じつはこれって、国内で食品汚染をもっぱら、〝騒がしくて「非科学的な」主婦や、うるさい母親たちの言っていることだ、というようになすりつけているのと相似形。

女性や母親に対する差別や偏見の構図、食べ物なんかでうるさく騒ぐのは女。子どものこととなるとヒステリーになって、という3.11直後に蔓延した意識(実情はそんなことはないのに)を、こんどは東アジアの国家関係に投影している結果でもあると思う。

それでもこうした放射能汚染に対する恐怖は台湾でも同様です。このところ、日本からの輸入食品に懸念する声が高まりつづけています。台湾の「主婦連合」という、1980年代後半にできたグループが、日本政府の放射能対策についてのシンポジウムと、汚染食品から身を守るための講座。

こういう動きを、日本の一群のひとたちは、「放射脳」(←すでにいささか古びた感が)よばわりするんだろうか?じぶんらの政府がしでかしてることを棚にあげて。

いまいちど、万国の放射脳よ、団結せよ、だ。さしあたり、韓国、台湾、アメリカの西海岸とか。

くらしにかかわる、すそ野の声、とてもだいじ。



           台湾主婦連盟 放射能を「悪霊」みたいにみなす。ただしい。